北海道をフォトグラファーが本気で旅してきた話

2016.07.20

Takashi Yasui

どうもこんにちは、保井崇志 @_tuck4 です。

広がる空に、どこまでも続く道、ふと脇に目をやると馬や羊がいて、車を止めても誰にもとがめられない。日本の原風景、壮大な雲海、神秘的な池・・・、そうなんです、行ってきました北海道。

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初めての北海道だったのですが、スケールの大きさに圧倒されました。日数にして7日間の旅は、天候にも恵まれ、写真も移動距離も膨大になりました。

今回はこの旅をぐぐっとまとめてお届けします。写真の総数57枚。東京は本格的な夏到来で、すでに北海道が恋しいのですが、その想いを記事にぶつけていきましょう。

羽田から新千歳空港へ

7月初旬、梅雨のじめじめした暑さの東京から飛行機で一時間半、新千歳空港に降り立つと肌寒さが迎えてくれました。実は今回は仕事で札幌市内での撮影があったんですね。撮影自体は一日ほどで終わる内容なので、せっかくならとじぶんの旅を計画して組み込むことにしました。

新千歳空港から札幌まではJR快速エアポートで40分ほど。札幌でいったん仕事を済ませ、レンタカーを借りていざ旅の始まり。最初の目的地、美瑛へ向かいます。

日本の原風景の残る美瑛町へ

「美瑛へ向かいます」と一口に言っても札幌市内から2時間半のドライブです。初めての北海道での運転だったので、さぞ周りは飛ばしているんだろうなと戦々恐々だったのですが、意外にも(失礼)交通マナーめちゃ良かったです。調べてみると北海道における交通事故の死者数は減少傾向にあるとのことで、高規格幹線道路の整備や取り締まり強化などが要因としてあげられるようです。

そういえば毎日(!)どこかしらでパトカーを見たり、すれ違ったりしましたね。

そんなわけで美瑛町です。まず声が出たのがこの丸いやつ。北海道キタコレ!

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この後至る所で見かけることになるこれ、正式名称が「ロールベールラップサイロ」となっています。普通に「牧草ロール」という方がなじみやすいかも。黒とか白のラップでくるんであるタイプが多かったですが、こういう茶色いそのままの感じの方が哀愁があってナイス。

「丘のまち」と呼ばれる美瑛町はやはり美しかったです。天気が崩れかけたものの持ち直して、見事な夕景で迎えてくれました。懐かしいような、現実離れしているような、どちらともとれる不思議な光景。

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美瑛は「ケンとメリーの木」や「マイルドセブンの丘」など、フォトジェニックな場所が多く、それがゆえ、たびたびカメラマンのマナー違反が話題になる土地でもあります。そもそも農家さんの土地だということを、常に頭に入れて行動しましょう。

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この時間になると急に寒くなって、厚手のパーカーを着て撮影していました。7月とはいえ服装には要注意です。この日は白金温泉のホテルへ。

ホテルでなにげなく「ケンとメリーの木」で検索していたら、日産スカイラインのCM動画にいきあたりまして、北海道の旅の間ずっと、「いつ〜だって〜、どこに〜いたって〜」って歌ってました。気になる人は検索してください笑。

神秘の青い池

翌日は3時起き。早起きの理由はあの「青い池」です。いろんな青い池の写真をネットで見ていたのすが、想像以上に素晴らしかった。広大な夏の北海道の中で、ここだけ時間が止まったような、切ない光景でした。

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早朝で他に人がいなかったこともあり、同じような写真を延々と撮り続けていました。なかなか立ち去れない・・・。

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前日の夕方から想像できたように、早朝は極寒でした。ホテルに戻って入った温泉が最高すぎて泣けた。温泉で暖まった後はチェックアウトの時間までは少し仮眠を。運転が多くなるので体を休めることにも気を配ります。

チェックアウトして、白金温泉のすぐ裏にあった「白鬚の滝」も押さえておきました。今回の旅を通してですが、トレッキングなど全く必要なくこれだけの写真が撮れることに感動してしまいます。

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東へ東へ

白金温泉を出発して東へ向かいます。ひたすら東へ、4時間のドライブです。もちろん途中で休憩をはさんで、延々続く道をゆきます。「しばらく道なりです」と、カーナビさん。広すぎますぜ、北海道。

途中、「大雪湖」というちょっとしたスポットがあって、急ブレーキ(危ない)。綺麗なリフレクションもそのはず、これダムなんですよね。冬は来れるのでしょうか?すごい光景になりそう。

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午前11時に出発して、けっきょく16時にこの日のホテルに着いてチェックインしました。北海道東部まできましたよ。場所は屈斜路湖の近く。部屋に荷物を置いて、もちろんすぐにお出かけです。

霧の摩周湖

ホテルを出て、屈斜路湖からさらに東へ、摩周湖へと向かいます。摩周湖の展望台は標高も高く、雲で太陽が遮られたこともあり極寒です。車を出るのをためらうレベル。ちょうど霧が出始めで、ギリギリで摩周湖ブルーを拝むことができました。

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摩周湖を望む展望台は東向きなので、夕日は反対です。振り返ると光がとても綺麗。

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「綺麗だなー」なんて思っていると、一方の摩周湖は一瞬で霧に包まれてしまいました。

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と、ここで寒さの限界レベルに。ダッシュで車に戻りました。数時間前まで冷房つけて運転していたのに、今やフル暖房です。展望台から標高を下っていくとともに、先ほどの濃霧が嘘だったかのような夕日が。北海道は短い時間でいろんな表情を見せてくれます。

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北海道の動物たち

ホテルから摩周湖に行くまでは山道も通るのですが・・・、

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ん?

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逃げない。

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車を止めて眺めていると、むしろ近寄ってきました。キツネです。野生のはずなのに人間を怖がらない、あきらかにエサをねだっていて、あんまり良くないことです。キツネはエキノコックスという寄生虫を体内に持っているので、触るのは厳禁。にしても可愛い。

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北海道では牛や羊、馬が放牧されている光景を普通に見ることが出来ます。山中にはヒグマもいるのですが、幸か不幸か(?)遭遇することはありませんでした。この後向かう知床半島では、行こうと思っていた場所にヒグマ出現で立ち入り禁止になっているのを見て、初めてリアルに感じましたね。やっぱりいるんやぁ。

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都会で生まれ育ったので、こんな風に動物が近い環境にいちいち感動してしまいます。旅の中でエゾシカが道路の真ん中に立ち、観光バスを止めている光景を見かけたのですが、対向車線の車内から慌ててカメラを構えようとしたら、すっと横切っていきました。写真におさめることはできませんでしたが、この旅で一番印象に残った光景でした。

さて、摩周湖と野生のキツネに出会った2日目の夜も、早めに就寝です。

津別峠からの雲海

3日目スタートは、またまた朝3時起きで、向かった先は津別峠展望台。時刻は朝の4時、ちょうど朝日の昇る瞬間に立ち会えました。感動の光景。

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こちらは眼下に広がる屈斜路湖を見渡せる展望台で、6〜8月は雲海シーズンとのこと。じぶんは雲海は初めて見たのですが、展望台の駐車場に車を止めて、ひょいと階段を上がるともう雲海ってことで、若干のあっけなさを感じてしまいました。なんか登山とかしなくていいんですか?という感じ笑。

それでも、さすがに圧巻の光景で、また少し湖が見えているところがニクい。夢中でシャッターを切っていました。

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写真を撮りまくった後は、例によってホテルに戻って温泉。この瞬間が幸せすぎます。

神の子池へ

仮眠してチェックアウトしてから次の目的地へ。ちなみに昼間の屈斜路湖はこんな感じです。

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前日の大雪湖(ダム)もそうだったんですが、こういった光景が当たり前のように見られるんですね。運転してるだけでも気持ちいいです。

さて、向かう先は「神の子池」という場所です。この屈斜路湖からまた一時間くらいのドライブ。国道から「神の子池」の看板を見つけたら駐車場までは舗装されていない林道をいきます。そうやってたどり着いたこの池。

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美瑛の青い池を思わせる神秘の光景。Wikipediaさんいわく、「このような色を出すのは水酸化銅が影響していると思われる。」とのことです。ほんとにこれだけなんですが、一見の価値はありました。真っ昼間に行ったので、早朝の方がより神秘的かもしれません。

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世界遺産、知床半島へ

さて、神の子池を後にして、知床半島へ向けて、またまた約2時間のドライブです。

知床に着いたのは夕方でした。ウトロという漁港で、カモメの鳴き声がします。はるばる来た感がハンパない。ウトロでは「知床料理 一休屋」というお店で、さけ親子丼をいただきました。北海道に来て初めての海鮮丼!

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写真をやっていると、朝日と夕日スポットを考慮してスケジュールを組むので、昼間は移動を優先させて、どうしても食事の優先順位が低くなってしまいます。せっかくの旅なので食事も充実させたいところですね。こちらのさけ親子丼、最高でした。

さて、ホテルにチェックインして夕日の見えるスポットへ。

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知床国設野営場というキャンプ場の敷地に入っていくと、夕陽台展望台があります。日が沈むのを待っている間、一緒にそれを見ていたベネズエラ人(住んでいるのはUS)のカップルと話しました。

5ヶ月間アジアを旅してきて、さらにもう2ヶ月、合計7ヶ月の旅の途中とのこと。ここ北海道でも札幌からヒッチハイクで知床まで来たらしいです。いかにもって感じですね笑。ちょっとしたプレゼントで、写真を撮って送ってあげました。この旅で唯一の人との交流です。

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沈んでいく夕日と、カモメの鳴き声。夕日を見に集まっていた人たちが野営場へ帰って行ってからも、しばらく残って眺めていました。

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知床国立公園をドライブ

4日目は知床のホテルで朝から作業していました。旅に出るとその間やっぱりメールがたまってしまって、3日おくと限界が来ます。昼過ぎには落ち着いたので、腹ごしらえ。漁協のおばさまたちがやっている小さなお店、「ウトロ漁協婦人部食堂」に行ってきました。

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これまた海鮮丼。前日から続いて鮭づくしですね笑。ウニのシーズンなのでどちらのお店もウニ推しでしたが、じぶんがそんなに好きではないのでパスでした。

ウトロ漁協婦人部食堂は、漁港にあるので、あたりではカモメがおこぼれを狙ってます。めっちゃかわええ。この子たちの鳴き声がウトロの素晴らしいアクセントになっています。

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お腹がいっぱいになったので、世界遺産の知床半島をドライブです。知床国立公園は、知床峠や知床五湖を含めた広大なエリアで、山道のドライブも信じられないくらいの気持ちよさ。ところどころ車を止めて撮影。

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世界遺産にも関わらず、あまり人もいなくて、この開放感もあいまって最高にお気に入りの場所になってしまいました。しばらく待っていると、良い感じのバスが通ってくれましたよ。

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この峠や知床五湖がひとくくりになって国立公園ということなんですね。すごいスケールだ。

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その知床五湖なんですが、知床はヒグマの生息地でもあるので、知床五湖の辺りを歩くのはガイドツアーでないと行けないんですって。ガイドなしで行くなら、安全な高架木道をいきます。これはこれで楽しかったですけどね。

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能取岬へ

さて知床を後にして、またまたロングドライブで向かう先は能取岬。

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能取岬に関しては灯台しかない、なんてことない場所です。それがまた良くて、頭を空っぽにして波の音を聞きながらベンチに座っていました。オホーツク海に沈む夕日が旅情を刺激します。こういう時間が必要なんですよね。

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札幌へ

能取岬を後にして、この日は北見市のホテルに泊まりました。翌5日目は札幌までの帰り道を、のんびり行くと決めてドライブデー。昼間はやはり暑いので、日陰を見つけて昼寝をしたりしながらゆるゆる行きます。といいながらも、この日陰を見つけるのも一苦労でした。広大すぎるのも考えものです笑。

途中、やっぱり美瑛に寄ってしまったりと、思いつくままにゆきます。良いなぁ美瑛。

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けっきょく札幌に戻る頃は夜になっていました。

残りの日程で、札幌もいろいろと撮り歩こうと思ったんですが、さすがに連日の長時間運転の疲れもあり、アクティブな観光はできませんでした。残っていた札幌での仕事を終わらせて、あとはラーメン食べたりと食にはしりましたね笑。

「すみれ」というお店の味噌ラーメンが最高に美味しくて、2日連続行ってしまいましたよ。札幌市中央卸売市場での海鮮丼(また!)も大満足でした。

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最後に

いかがでしょうか。フォトグラファーが北海道を旅するとこんな感じになります、というお話でした。各ソーシャルに写真を公開していると、北海道の方からオススメの場所情報も集まってきます。函館方面も行ってみたいので、これは再来決定ですね。

記事に貼り付けたGoogleマップの距離を計算してみると900㎞ちょい、加えてけっこうウロウロしてるので、合計1000㎞を超える移動距離でした。意識したのはスピードを控えて安全運転。

前述しましたが、パトカーを見かけることも多く、旅先で違反なんてことになると写真のパフォーマンスも落ちちゃいます。なにより無事故が一番です。

北海道に行ったことがない方は、ぜひ参考にしてみてください。紹介したどのスポットも自信をもってオススメします。

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Takashi Yasui
Photo & Text by 

2010年に趣味で写真を始める。Instagramとの出会いがキッカケで、2015年にフリーランスフォトグラファーに転身。Instagramを通じての企業案件やアーティストの撮影など、新しいフォトグラファー像を追求している。