「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」は写真を撮る全ての人が観るべき

2016.01.07

Takashi Yasui

どうもこんにちは、Tuck @_tuck4 です。先日、「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」というドキュメンタリー映画を観てきました。「写真を撮る全ての人が観るべき」なんて少し強めの表現ですが、心からそう思わせる内容でした。ざっくりとした映画の内容もあわせて紹介していきます。

Vivian Maier

映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」について

国内では、ミニシアター(単館映画館)を中心に、昨年2015年10月から上映されている映画です。アカデミー賞のドキュメンタリー部門にもノミネートされた本格ドキュメンタリー。実はヴィヴィアン・マイヤーにはもともと興味があって、調べて写真集をゲットしていたくらいなんですが、この映画について知ってはいたものの、タイミングが合わずに観に行けていませんでした。

ドキュメンタリー映画を映画館で観る、ということがじぶんにとってはあまりない経験だったことも、観ていなかった原因でした。今年になって、「好評につき再上映」との文字を見て、軽い気持ちで大阪の映画館に観に行ったのですが、本当に行って良かったですし、めちゃくちゃ考えさせられました。以下に内容を。

2007年、シカゴ在住の青年が、資料の参考文献としてオークションで大量のネガを落札したことからストーリーが始まります。ネガの一部を現像してWebサイトに公表するとたちまち評判に。調べてみると、写真を撮影したのは、ヴィヴィアン・マイヤーという女性で、15万点以上もの作品を残しながらも、一枚も公表することなくこの世を去っていたことがわかりました。

そんな、謎に満ちた写真家の正体を探ろうと、生前交流のあった方々を訪ね回ってドキュメンタリーにした映画です。監督がその発見者の青年というのがまた凄い。

Vivian Maier

写真を公表することのなかった写真家

映画の中でも証言されているのですが、生涯独身で、孤独を好み、誰にも心を開かず、偽名を使うなど、ヴィヴィアン・マイヤーは相当に変わった人だったようです。それでも、精力的(みようによっては狂気的)に写真を撮り続けた彼女が、一枚も公表することなく世を去ったことは、現在でも謎とされています。

撮った写真をその日のうちにInstagramに公開してしまうじぶんからすれば(笑)、どんなに逆立ちしても理解できない心境です。マジでなんでなんでしょうか?「公表するほどでもない」というような写真ではないことは、ヴィヴィアン自身が一番わかっていたはずです。

「評価されたのが死後で彼女はホッとしているはず」映画の中で誰かが言っていましたが、本当にそうでしょうか?ヴィヴィアン自身、自らの作品に自信があったことは、一つの手がかりから明らかになっています。

考えられるとしたら、その揺るぎない自信がゆえに、「他の人に評価されたくない、評価させない」という気持ちが強かったのかもしれません。この世にヴィヴィアンがいない今となっては、その謎がとけることはありません。

Vivian Maier

余談にはなりますが、映画の中で、俳優のティム・ロスがヴィヴィアン・マイヤーの写真展に来ていて、「一枚買ったよ。悲哀の中に希望が感じられる一枚だ」ということ(だったと思う)を言っていたのが印象に残りました。届いたプリントをティム・ロスが家に飾っていることまで想像してしまいましたね。

そのシーンをみて、「プリントで写真を見る、買う」という時代は、国内でも戻ってくると確信しました。「プリント」って最高にクールじゃないですか。

最後に

一枚も世に写真を公表しなかったヴィヴィアン・マイヤー。繰り返しますが、日々Instagramをはじめ、Webに写真を公開して、かつそれをキッカケに写真の仕事をしているじぶんには理解ができません。でも一方で、なぜか強烈に親近感を覚えてしまう、この感覚ってなんなんでしょうか?

じぶんのやり方が間違っているとさえ思えてくるこの感じ。その答えは、まだもう少し先にならないとわからないのかもしれません。

公式サイトで上映映画館をチェックすると、さすがに「上映終了」の文字も並びますが、地域によっては順次公開となっているので、これを読まれている方にもまだ観られるチャンスはあるかもしれません。ぜひそのチャンスを逃さないようにしてください。

Vivian Maier

これら写真に写っている「Vivian Maier: Street Photographer」という写真集は、アマゾンなどで購入できます。


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Takashi Yasui
Photo & Text by 

2010年に趣味で写真を始める。Instagramとの出会いがキッカケで、2015年にフリーランスフォトグラファーに転身。Instagramを通じての企業案件やアーティストの撮影など、新しいフォトグラファー像を追求している。