さまよえる日本人
2015.04.21特に何の感情もなく、ただ仕事のためにスタートした自分と写真の関係。仕事以外で何を撮っていたかさえ、今では思い出すことができません。はっきりと覚えていることといえば、初めての自分のカメラは今、湖の底に眠っているということだけ。
記憶が確かなものになるのは、ちょうどjuneと出会った頃から。二人の始まりから間もなくして、思い出にと作った一冊のフォトブック。取り留めない写真でも、二人の感情や思い出がその本には詰まっています。今見ても日差しや雨の匂い、空気の味まで、まるで昨日のことのようにはっきりと思い出すことができます。
”写真”という存在に対して、人の数ほどその関わり合いや意味が違うのかもしれません。僕の場合は、『出会ったこと_。』
戦争や天災などの悲しいニュースが重なる世界にも、暗闇の中には美しい世界が反面に存在すると気が付きました。一筋の希望のような温かい光、深い愛情、信じることの素晴らしさ、夢を持つ美しさ。
幸運と悲劇の背後では平等な時間が流れています。一緒に生きてゆく人と人の関係によって見える世界はよくも悪くも大きく変わるのだと。まるで地に足のつかなかった自分に、魂が宿った様な感覚を覚えだしました。言ってしまえば、『世界が180度変わった』のです。
そしてこれから何を選択してどう生きるのか。
ここまでくると、一体写真と何の関係があるんだ?と思われるかもしれません。自分に残ったものは、写真を撮ってきたこと、これからも写真を撮ることが出来るということ。写真を通して学んだことでもなく、写真という表現に惹かれたわけでもなく、ある日を境に僕の人生のツールとなった”写真”。
この写真で、何を残し、何を伝えるか。それが僕にかかった呪いだと思っています。僕にとってこのような考えを示すことこそが”写真”というものにつながる大事な道なんです。「言葉と写真」は一生共に歩き続けてゆく、人生のパートナーの様な存在と考えています。
インスタグラマーから写真家、アーティストの数だけスタイルと表現方法があり、時にその方法に迷うことがあるかと思います。自分の弱みやコンプレックスと向き合うことによってきっと自分らしい何かを見つけられると思います。
今回、長めの自己紹介として「旅」をメインに3部構成で連載してきました。締めのテーマとして選んだのが「人 , 生」
今までの人生と、これからの人生。きっとずっと続いてゆく、この人生を写真家としていつの日か心に決め、僕は歩いています。
人間が人間としてとして生きるための宿命、「終わる事なき流浪」はこれからも何があろうと続いていくのです。
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