写真家たちが選ぶ、旅に連れていくたった一台のカメラ

2016.01.22

ryoko

こんにちは。ryoko(@ryoko_______)です。突然ですが、ひとつ質問をさせてください。

「もし、長い旅に出るとして。一台だけカメラを持っていけるとしたら、何を選びますか?」

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旅に連れていくカメラ。荷物量を考えると一台で済ませたいところですが、せっかくの旅行でいい写真を残したいと思うと、カメラの特性を考えて迷ってしまうことも……。

もし、どんな環境、どんなシチュエーションにも対応できる一台があれば心強いですよね。

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私はこれまで、カメラ関連の雑誌や写真集、音楽誌の編集をしてきました。そのため日本や世界を旅する写真家にお逢いすることも多く、プライベートやカメラのお話をさせていただく機会もよくありました。

写真家には「作品撮りをするメイン機」とは別に、複数のカメラを持っている方が多いんですね。では、そんな彼らにとって「どんな旅先にも連れていきたい、頼れる一台」って、一体どんなカメラなのでしょう?

そんな思いから生まれた冒頭の問い。

写真家の方々にお伺いして、最も多かった答えが「Nikon FM2」でした。

Nikon FM2が選ばれる理由

Nikon FM2は、電池がなくても撮影できる機械式シャッター。肝心なときにバッテリー切れで撮れなかった……というミスがありません。

また、電気を使わないというのは温度差にも強いということ。「雪山での撮影でデジタル一眼がどんどんバッテリーダウンしていく中、壊れたり調子が悪くなったりすることなく使えた唯一のカメラ」とおっしゃる方もいました。

さらには「これ一台あれば何でも撮れる」という声も。発売当時から、撮影環境に左右されず、どんな被写体もしっかり捉えるNikonらしい丈夫さと堅実さが評価され、スポーツ写真を撮るカメラマンや新聞記者にも愛用者が多かったといいます。

Nikon FM2を持って京都へ

一昨年の京都旅行で、私が持っていたのがこの「Nikon FM2」でした。

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Nikon FM2は長い間、写真学校の入門機種として推奨されていたカメラ。露出もピントも手動で、撮影者がすべてを設定しなければなりませんが、それが写真の基礎を学ぶためには重要だったんです。

実は京都旅行した当時、私は撮影に5年程のブランクがありました。でも、FM2を使っていたおかげで写真の基礎が自然と身についており、とくに問題なく撮影することができました。

絞りについては仕上がりの勘どころがなくなっていたため、「ピントの合う範囲がやや広めで、ボケ味も出るF4〜5.6」に合わせることが多かったですね。でも、同じシーンで絞りを変えて撮って、仕上がりを比べてみるのも面白いと思います。

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本体の重さは約540gと女性にも持ちやすいサイズ。あまり軽すぎるカメラは手ブレを招いてしまうのですが、これは適度な重みがあって手ブレもしにくいんです。

シャッター速度の数値が1/125を下回ると手ブレの可能性が高くなると言われていますが、しっかりと脇を締めれば1/60〜1/30でも撮影可能です。夜の居酒屋でもブレることなく写すことができました。

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何より、京都のしっとりとした風景の中、ファインダーを覗き、露出を調整しながらゆっくりとピントを合わせるという行為が心地よく、シャッターを押すときの重みと「カシャン」という音には「風景を閉じ込めている」という手応えがありました。

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あれから2年。

私はフィルム写真を見返すと、撮影したときの空気の質感、湿度までもが思い出されるような気がします。ネガの粒子に光を焼きつけている、という感覚がそうさせるのかもしれません。

いまでは撮影の勘も戻ってきたので、あらためてこのカメラを持ち、京都へひとり旅したいと考えています。

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ryoko
Photo & Text by 

ライター、編集者。
カルチャー、ライフスタイル誌にて
執筆や編集を行う。