今日も、東京にて。
2015.03.15山のあなた
山のあなたの空遠く
「幸」住むと人のいふ。
噫、われひとと尋めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸」住むと人のいふ。
カール・ブッセ 上田敏訳 『海潮音』より
RECOをご覧の皆さん、こんにちは。kanae katoです。冒頭の詩はドイツの詩人、カール・ブッセの詩を上田敏が日本語訳したものです。
意訳をすれば、
山の彼方向こうにに幸せがあると人は言う。
山の向こうへ幸せを探しに行ったが、見つからず、涙を浮かべて帰ってきた。
山の彼方遠く遠くに幸せがあるという。
というところでしょうか。いろいろな解釈があるようなので、気になる方はよかったら調べてみてくださいね。
わたしが、解釈したこの詩に込められた意味を少しだけ。
幸せになりたい、というのは人々それぞれが心から願うことであると思います。人というのは何故か幸せは遠くにあって、他人のもとにあると思いがちです。不思議なことに。ところが、幸せは他人のもとにあるわけでも、遠くに探しに行って見つかるものではなく。
では、どこにあるのか。きっと近すぎてみえないところ。見慣れて、新鮮さのないところにあるのだと、わたしは思います。
わたしが上京してから4月で2年。何でもできる夢の溢れているところ、それでいていろいろな世界が重なり合うすこし怖いところ。上京したての時の、東京のイメージです。
空の広い、自然豊かな田舎町からきたもので、本当に絵にかいたような田舎者だったわたし。(今でもその田舎者感が抜け切れていない)
新しい町に住むという初めての経験、半ば冒険の感覚で、世田谷区の写真を撮っていました。
大学生になって、たくさんの学生で溢れる食堂が苦手で、ひとり公園でご飯を食べたり、今日はいつもと違う道から帰ってみようと思ったら迷子になって泣きながら帰ってきたり。
憧れの大学で、差し込む光に心を奪われたり。
雨上がりの二子玉川の河川敷をふたりじめしたり。
緑色の桜が存在することを知ったり。
季節が巡る度、いろいろな表情を見せてくれる東京。
すこしずつ時間が過ぎて、わたし自身も変わり、それに寄り添うように今年もまた春が来ます。
東京で過ごす3度目の春。だいすきな仲間と朝から自転車で出かけて桜を撮って、始まる予定です。
今日もまた、東京にて。
kanae kato
[template id=”93″ Footer]